「ChatGPT、Claude、Gemini。会社で使うなら、結局どれがいいの?」
生成AIを仕事に入れようとした社長さんや総務の担当者さんから、よく聞かれることです。比べる記事を読むほど、どれも良さそうに見えて決められない。新しい機能の話も毎月のように出てきます。
最初の1つは、ChatGPTかClaudeです。仕事で使う範囲なら、この2つの値段も性能も、大きな差はありません。大事なのは「どれが一番か」より、社内のメインを1つ決めることです。迷ったら、AXパートナーが毎日の仕事で使っているClaudeをおすすめします。すでにGoogle Workspaceを使っている会社なら、付いているGeminiから始めるのも手です。
そして慣れてきたら、もう1つを確かめ役に持つのがおすすめです。AXパートナーも、ClaudeとChatGPTを両方使っていて、片方で作ったものをもう片方に確かめさせています。
この記事では、3つの違いと値段を比べたうえで、メインの決め方と、もう1つを確かめ役にする使い方を書きます。
生成AIを仕事で比べる:3つでできることはほとんど同じ
中小企業の仕事でよく使う機能を、あるかないかで並べました。性能の良し悪しではなく、その機能があるかどうかです(2026年9月時点。各社の公式ページで確認)。
| できること | ChatGPT | Claude | Gemini |
|---|---|---|---|
| 文章の下書き・要約・言い換え | ○ | ○ | ○ |
| PDFやExcelなどのファイルを読ませる | ○ | ○ | ○ |
| Webで調べてまとめる | ○ | ○ | ○ |
| 声で話しかける | ○ | ○ | ○ |
| 写真・イラストを作る | ○ | ×(図やグラフは作れる) | ○ |
| Gmail・Googleカレンダーとつなぐ | ○(有料版) | ○(無料版から) | ○(Google Workspaceか有料版) |
| 話しかけながら業務アプリを作る | ○(Codex・有料版) | ○(Claude Code・有料版) | ○(Antigravity) |
| 入れた内容をAIの学習に使わない会社向けプラン | ○(Business) | ○(Team) | ○(Google Workspace) |
はっきり分かれるのは、写真やイラストを作るかどうかくらいです。チラシの挿絵や社内資料の画像をAIで作りたいなら、ChatGPTかGeminiになります。Claudeは、図やグラフは作れますが、写真やイラストは作りません。
文章の出来や調べものの確かさは、使う人が「こっちのほうが合う」と感じるくらいの差で、新しい版が出るたびに入れ替わります。メールの下書き、議事録の要約、見積の条件の整理といった仕事なら、3つとも十分に使えます。
値段もほぼ同じ:1人 月3,000円前後から
有料版の値段も横並びです。個人向けはChatGPT Plus・Claude Pro・Google AI Proとも月3,000円前後。会社向けのChatGPT BusinessとClaude Teamも、1人 月3,000円前後からです。Geminiは、Google WorkspaceのBusiness Standard(1人 月1,600円・税別)から上のプランに入っています。すでに契約している会社は追加の費用なしで、これから契約する会社はWorkspaceの料金ごと比べます。会社向けのプランは、入れた内容をAIの学習に使わないのが標準で、支払いや人の追加・外しを会社でまとめてできます。
プランごとの料金と、20人の会社で借りたときの試算は、中小企業のAI導入、費用はいくら?に書きました。料金の差は小さいので、Google Workspaceを契約していてGeminiが追加費用なしで使えるかどうか以外は、値段で選ぶ理由はほとんどありません。
決め手は3つ
差が小さいからこそ、選ぶときは道具の側ではなく、会社の側を見ます。
1. 任せたい作業に要る機能があるか
最初にAIに任せたい作業を1つ決めて、上の表で要る機能があるかを見ます。文章の下書きや要約が中心ならどれでも足ります。画像も作りたいならChatGPTかGeminiです。
2. 今使っているメールや表の道具
メールや表計算にGoogle Workspaceを使っているなら、会社のプランにGeminiが付いていることがあります。新しい契約を増やさずに試せるので、社内の手続きが少なくて済みます。Microsoft 365の会社なら、付いているCopilotから始める手もあります(どのプランに付いているかは費用の記事に書きました)。
3. 社内のメインは1つにそろえる
いちばん大事なのはここです。社員がばらばらの道具を使うと、「この頼み方でうまくいった」を分け合えません。社内ルールも道具ごとに決め直しになり、誰がどのアカウントで何を入れたかも見えなくなります。メインがそろっていれば、うまくいった使い方がそのまま隣の人の見本になります。
ただし、AIを1つしか使わないという意味ではありません。2つ目の使い方は、あとで書きます。
迷ったらClaude:AXパートナーが使っている理由
3つの決め手で決まらないときは、Claudeをおすすめします。AXパートナーは毎日の仕事でClaudeを使っていて、使いながら感じていることが4つあります。
- 文章が自然で、直す所が少ない:メールや報告書の下書きが、そのまま使える形で出てくることが多いです
- 長い資料をまとめて読ませやすい:マニュアルや議事録を丸ごと渡して、要点や抜けを確かめてもらえます
- こちらの意図をよく汲んでくれる:言葉足らずの頼み方でも、何をしたいのかを取ってくれると感じます
- アプリづくりまで同じ道具で進められる:文章や資料の仕事から、Claude Codeで業務アプリを作るところまで、1つの道具で続けられます
4つ目は、AXパートナーの伴走(教育プラン)ともつながっています。伴走した会社で、Excelが使えるくらいの担当者さんが、Claude Codeで見積書と請求書のアプリを自分で作りました。毎日の仕事で使っている道具のまま、アプリづくりに進めたのが大きかったところです。
一方で、ChatGPTが向いている会社もあります。写真やイラストも作りたい会社と、社員の多くがすでに家でChatGPTに慣れている会社です。慣れている道具は、社内に広がるのが早い。ここで無理にClaudeに替える理由はありません。その場合は、Claudeを確かめ役にすると、両方の良さが使えます。
Geminiが候補になるのは、Google Workspaceの会社
Geminiを最初の1つにするのは、会社でGoogle Workspaceを使っているときです。GmailやGoogleドキュメントの中から呼び出せて、会社のアカウントのまま使えます。Google Workspaceの会社向けプランでは、入れた内容や社内のファイルが、許可なく会社の外でAIの学習に使われることはありません。
契約しているプランでGeminiがどこまで使えるかは、会社の管理画面か、Googleの料金ページで確かめてください。Google Workspaceを使っていない会社なら、GeminiのためだけにGoogleへ乗り換える必要はありません。
慣れてきたら、もう1つを確かめ役に(セカンドオピニオン)
メインを1つ決めるのは、社内で使い方をそろえるためです。AXパートナー自身は、ClaudeとChatGPTを両方使っています。
使い方はかんたんです。片方で作った下書きを、もう片方に見せて「おかしな所や抜けはないか」を聞きます。生成AIは、もっともらしい間違いを書くことがあります。同じAIに見直させると、同じ思い込みのまま「問題ありません」と返ってくることがある。別の会社のAIに見せると、言い回しの引っかかりや、抜けている条件に気づいてくれることが多い。両方を使っていての実感です。お医者さんのセカンドオピニオンと同じ考え方です。
ただし、2つのAIが同じ間違いをすることもあります。見積や契約に関わる内容は、最後に人が元の資料と照らして確かめます。確かめ役は、人の確認の代わりではなく、人が見落としやすい所に先に印を付けてもらう役です。
確かめ役が効くのは、間違えると困る文書です。
- お客様に出す提案書やメール
- 見積や契約の条件の整理
- 社内ルールや手順書
全員分を2つずつ契約する必要はありません。
- 確かめ役に無料版を使うなら、秘密が残らない内容だけにします:公開済みの文章や、社名・氏名・金額を外しても中身から秘密が分からない文章です
- 会社の資料をそのまま見せるなら、確かめる人の分だけ会社向けのプランに:社長や担当者など、確かめる役の1〜2人分で足ります
順番は、メインの1つに慣れてからです。頼み方が身についてから2つ目を足すと、2つの答えのどちらが合っているかを見分ける目も育っています。
新しい機能が出るたびに、乗り換えなくていい
2026年9月末、OpenAIは「dots」という、目標を渡すとずっと動き続けて仕事を進めるAIを発表しました。こうした発表は、ChatGPT・Claude・Geminiのどれからも、毎月のように出てきます。
dotsが使えるのは、個人向けの最上位のプランと、会社向けのプランの上位の席からです。中小企業が最初に入れる範囲の話ではありません。それに、決めた時間に作業を動かす仕組みはClaudeの有料版にもあり、使い方しだいで同じようなことはできます。新しい機能は、今の道具で困ったときに見直せば十分です。
道具が替わっても、残るのは作業の流れです。さいたま市内の中小企業で、月1回5時間ほどかかっていた議事録づくりをAIに任せ、30分ほどにしました。作った当初はChatGPTで要約していて、今は別の道具に替えています。それでも、AIに文字起こしと要約を任せる流れはそのまま使われています(議事録の記事に詳しく書きました)。先に決めるのは、AIに任せる作業と、その流れです。
始める順番
- メインを1つ決めて、無料版で試す:最初に任せたい作業を1つ決めて、その作業で1〜2週間使ってみます。無料版や個人向けの版は、入れた内容がAIの改善に使われる設定になっていることがあるので、お客様や社員の情報は入れません。何を入れないかは生成AIの社内ルールで会社として決めます
- 使う作業が決まった人から、会社向けのプランに:全員分をいきなり借りる必要はありません。使う人が増えたら足していきます
- 使い方を社内でそろえる:社員みんなで使うなら、使い方と入れてはいけない情報をそろえる場をつくります。研修で何を教えるかは中小企業の生成AI研修、内容は?にまとめました
- 慣れた人から、もう1つを確かめ役に:お客様に出す文書など、間違えると困るものから、別の会社のAIにも見せて確かめます
迷ったらClaude。メインは1つ、確かめ役にもう1つ
ChatGPT・Claude・Geminiは、仕事で使う範囲なら、値段もできることもほとんど同じです。写真やイラストを作りたいならChatGPTかGemini、Google Workspaceの会社ならGemini、それ以外で迷ったらClaude。社内のメインを1つにそろえ、慣れてきたらもう1つに確かめさせる。この形で使い始めた会社から、仕事が楽になっていきます。
選ぶ前に、「いちばん手間がかかっている作業は何か」を1つ書き出してみてください。その作業が、どの道具が合うかの答えにもなります。