「社員にAIの研修を受けさせたい。でも、何を教えてもらえばいいのか分からない」

生成AIの研修を探し始めた社長さんや総務の担当者さんが、最初につまずくところです。研修会社のページを見ると、プロンプト、活用事例、最新の動向と言葉が並んでいて、どれが自社の社員に要るのかが見えにくいものです。

中小企業の社員向けの生成AI研修で教えるのは、AIでできること・使い方・入れてはいけない情報・自分の作業で試すことの4つです。時間は合わせて6時間ほど。3時間ずつ2回に分けて、あいだに自分の作業で試してもらう形をおすすめします。この記事では、4つの中身と時間の組み方、誰が受けるか、どの道具で受けるか、受けて終わりにしない進め方、費用の相場、研修では扱わないことを順に書きます。


社員向けの生成AI研修の内容は4つ

カリキュラムの順番も、この4つの順です。前の1つが分かっていないと、次の1つが身につきません。

1. AIでできること・できないこと

最初に、生成AIが得意なことと苦手なことをそろえます。文章の下書き、長い資料の要約、ばらばらのメモを表にまとめることは得意です。一方で、もっともらしい間違いを書くことがあり、調べものの答えが古かったり外れていたりすることもあります。社内の事情は、こちらから伝えない限り知りません。AIの答えは下書きで、確かめるのは人。ここを全員が分かっていると、あとの使い方が安定します。

ChatGPT・Claude・Geminiの違いと、個人向けの版と会社向けのプランの違いも、ここで話します。社員が家で使っている版と、会社で使う版が同じとは限らないからです。

2. 使い方:自社の作業に近い例題で触る

研修の時間の中心です。メールの返信案を作る、会議のメモを要約する、見積の条件を表に整理する。例題は、受ける人が毎日やっている作業に近いものにします。一般的な例題だと、その場ではできても、職場に戻ったときに何に使えばいいかが分かりません。

頼み方のこつ(何のための文か、誰が読むか、どんな形で欲しいかを伝える)も、例題を解きながら覚えます。頼み方だけを先に座学で教えても、手が動くようにはなりません。

3. 入れてはいけない情報

お客様の名前や連絡先、社員の個人情報、取引先から預かった資料。どこまでならAIに入れてよいかを、研修の場で会社として決めます。聞いて終わりにせず、その場で社内ルールのひな形に自社の中身を書き込むと、研修の日から迷わずに使えます。ルールの決め方は生成AIの社内ルール、中小企業はA4で1枚からにまとめました。

4. 自分の作業で試す

最後に、受けた人それぞれが「自分の作業で1つ試すもの」を決めます。研修で覚えたことを、例題ではなく自分の仕事に当てはめる一歩です。ここが無い研修は、受けた日は盛り上がっても、翌週には元の仕事のやり方に戻ります。


時間と回数:3時間を2回、あいだに2〜3週間

AXパートナーのAI研修は、3時間を2回、あいだを2〜3週間あけて行います。1回目で使い方と注意点をそろえ、あいだの2〜3週間は、自分の作業で試してもらいます。2回目は、試した結果を持ち寄るところから始めます。

2回に分けるのは、研修の中で例題が解けることと、翌週に自分の机で使えることが別だからです。自分の作業で試すと、「この頼み方はうまくいった」「ここで手が止まった」が一人ひとりから出てきます。2回目でそれを全員で分け合えるので、うまくいった使い方はほかの人の見本になり、つまずいた所はその場で一緒に解けます。1回目で終わる研修には、この場がありません。

日程は、1回目のときに2回目まで決めておきます。あいだが空きすぎると、試したことを忘れてしまうからです。


誰が受けるか:社員みんなと、社長・管理職も一緒に

生成AIの研修は、特定の人だけでなく、社員みんなで受けるのが向いています。入れてはいけない情報は全員が知っている必要がありますし、使い方がそろっていると、社内で「この作業、AIでやってみた?」と声をかけ合えるからです。

社長や管理職も一緒に受けると、効き目が変わります。社員がAIで作った下書きを見たときに、「AIで作ったのか、ちゃんと確かめたか」だけでなく、「次はこの作業にも使えるね」と言えるようになります。決める立場の人がその場にいれば、研修で話し合った社内ルールも、その日のうちに会社の決まりとして決められます。

人数は、触ってみる時間に講師が一人ひとりの画面をのぞける数、10名くらいまでが目安です。パソコンが得意でない人がいても大丈夫です。例題が自分の作業に近ければ、手順を知っている人ほど、AIの答えのおかしな所にすぐ気づきます。


どの道具で受けるか:無料版か、会社で契約している版か

決め方は1つです。研修のあと、会社で使い続ける道具で受けます。研修ではChatGPTを使ったのに会社ではGeminiしか使えない、という形だと、戻った日から続きができません。

会社向けのプランの料金と選び方は、中小企業のAI導入、費用はいくら?に書きました。研修を受けてから、どの道具を契約するか決める順番でも遅くありません。


受けて終わりにしない進め方

生成AIの研修で避けたいのは、受けた日は「便利だね」で終わり、1か月たつと誰も使っていない形です。そうならないように、研修の中身とは別に、次の3つを組み込みます。

もう1つ、研修の最後に「会社として最初に楽にする作業」を1つ決めます。一人ひとりの宿題とは別の、会社の作業です。毎月繰り返していて、手順が決まっていて、誰かが我慢している作業が向いています。その作業を楽にする仕組みを作るのは研修の外ですが、たとえば、こちらでアプリを作ってお渡しした会社では、毎月8時間かかっていた勤怠の月末集計が15分ほどになりました。こういう作業が1つ見つかれば、研修は「使い方を覚えた」で終わらず、会社が楽になる一歩目になります。

研修を選ぶときに研修会社へ確かめることは、AI導入の進め方は4つの「研修を選ぶときに確かめること」にまとめています。


費用の相場

講師を会社に呼ぶ生成AI研修は、2026年9月に研修会社が出している相場の記事を見ると、半日(3〜4時間)で15万〜50万円ほど、1日で40万〜100万円ほどです(0120.co.jp、a-x.inc)。人数、事前の聞き取りの有無、研修のあとの質問の受け付けで変わります。

値段を比べるときは、1回の値段より、何時間で、あいだに試す期間があるか、あとから質問できるかを並べて見ます。道具代や、ほかの進め方との費用の比べ方は費用の記事に書きました。


研修では扱わないこと:アプリづくりは、その次の段階

社員向けの生成AI研修で目指すのは、社員みんなが自分の作業でAIを使い始め、会社として最初に楽にする作業が決まるところまでです。6時間で、その作業のためのアプリを作ったり、1人の作業を仕組みに変えたりするところまでは届きません。

そこから先は、研修の次の段階です。決めた作業を楽にするアプリを、社内の人が教わりながら作る(伴走)か、外に作ってもらう(開発代行)かを選びます。どちらが合うかは、AI導入の進め方は4つで比べました。


AXパートナーのAI研修は、この形で組んでいます

さいたま市の中小企業向けに、社員みんなで受けるAI研修(初級〜中級)を行っています。ここまで書いたことを、3時間×2回に入れた形です。

回中身
1回目(3時間)AIでできること・できないこと、ChatGPT・Claude・Geminiの違い/事前に伺った御社の作業に近い例題で触る/入れてはいけない情報を、社内ルールのひな形に書き込む/2回目までに自分の作業で試すものを1人1つ決める
あいだの2〜3週間自分の作業で試す。つまずいたらLINEで質問
2回目(3時間)試した結果を一人ずつ発表/つまずいた所を一緒に解く/会社として最初に楽にする作業を決める

10名くらいまで、無料版の範囲で進めます。料金は2回で10万円(税別)です。2回目のあとも1か月は、LINEで質問を受けます。さいたま市の会社には訪問で伺い、Zoomでも同じ内容で進められます。生成AIの勉強会も月1回、対面で開いていて、通算20回を超え、参加した方は延べ200名以上です。


生成AI研修で教えるのは、使い始めるところまで

社員向けの生成AI研修の中身は、AIでできること、使い方、入れてはいけない情報、自分の作業で試すこと。時間は3時間ずつ2回に分けて、あいだに試す期間を置く。研修の良し悪しは、教える量より、受けた人が翌月も自分の作業でAIを使っているかで決まります。

研修を探す前に、社員に「いちばん手間だと思っている作業は何か」を1つずつ聞いてみてください。その答えが、研修の例題にも、会社として最初に楽にする作業にもなります。