さいたま市内の中小企業で、議事録づくりをAIで自動化した例があります。月1回、5時間ほどかかっていた作業が、30分ほどになりました。今も毎月使われています。
この記事では、その流れと、途中で道具が変わった話、それから議事録をAIに任せるときに人が確かめるところを書きます。
議事録づくりの負担は、どこに集まりやすいのか
議事録は、なくすわけにはいかない書類です。決まったことを残しておかないと、次の会議で同じ話がもう一度始まってしまう。
書く側の手間は、思っている以上に大きいものです。録音を聞き直して、話を文字にして、要点を拾ってまとめる。発言が行ったり来たりする会議ほど、まとめるのに時間がかかります。
しかも、だれか決まった人の仕事になりやすい。毎月同じ人が、同じ手間をかけ続けることになります。
別の記事(AI導入は何から?)で、AI導入の最初の1つは「毎月ある・手順が決まっている・だれかが我慢している」作業が向いている、と書きました。議事録は、その3つがそろっている作業です。
実例:議事録をAIで自動化し、月1回5時間から30分に
さいたま市内の中小企業での話です。月に1回の議事録づくりに、5時間ほどかかっていました。
そこで、会議の録音をAIで文字にして、AIで整えて要約する流れを作りました。月1回5時間ほどだった作業は、30分ほどになりました。この流れは、今も本番で使われています。
月1回の作業でも、毎月続けば負担は積み重なります。5時間かかっていた作業が30分になった差を見返すと、ちょっと驚きます。
会議の文字起こしと要約:当初はWhisper+ChatGPT、現在はNotebookLM・Genspark
作った当初は、OpenAIの「Whisper」という音声を文字にするAIで文字起こしをして、ChatGPTで整形と要約をしていました。
現在は、NotebookLMやGensparkを使って、整形と要約をしています。NotebookLMはGoogleの道具で、読み込ませた資料をもとに要約や質問への答えを出してくれます。Gensparkは、調べものや資料づくりを代わりに進めてくれるAIの道具です。
使う道具は変わりましたが、「録音→文字起こし→整形・要約」という流れは残っています。
ChatGPTがいいのか、Claudeがいいのか、Geminiがいいのか。AIの話になると、どの道具を選ぶかに目が行きがちです。ただ、議事録に関しては、道具より流れのほうが長く残ります。流れが決まっていれば、道具はあとから替えられる。逆に、流れが決まらないまま道具だけ比べても、何を比べているのか分からなくなります。
文字起こしだけでは、議事録にならない
AIで議事録を作ると聞くと、まず文字起こしを思い浮かべる方が多いです。録音を入れたら、話した言葉が全部文字になって出てくる。それだけでもかなり便利です。
ただ、全文の文字起こしは長い。1時間の会議なら、文字にするとかなりの量になります。欠席した人が知りたいのは、全部の発言より、何が決まって、だれが何をやることになったか、のほうです。
この例でも、文字起こしで止めず、整形と要約までをAIの流れに入れています。議事録として使えるものになるのは、そこからです。
AIに任せても、人が確かめるところ
AIで議事録の下書きを作るなら、次のところは人が確かめる形にします。
- 人の名前や会社名、社内の言葉が、正しく文字になっているか
- 数字(金額・日付・数量)が合っているか
- 決まったことと、まだ決まっていないことが、混ざっていないか
AIのまとめは、それらしく整って出てきます。整って見えるぶん、間違いに気づきにくい。3つ目は特にそうで、「検討する」と話していたことが「決定」としてまとまってしまうこともあり得ます。
元の録音と照らす手間は、少しだけ残しておくのが安心です。
もう1つ大事なのが、作業の区切り方です。録音を文字にするところ、読みやすく整えるところ、決まったことを拾うところ。その全部を一度にAIへ任せるより、どこで人が確かめるかを先に決めておくと扱いやすくなります。
数字や名前が出たところと、決まったこととして書かれたところだけ、元の音声に戻れるようにしておく。全部を聞き直すのではなく、間違うと困るところに絞る。そのくらいなら、AIに任せた意味をなくさずに続けられます。会議が変われば、見るところも少しずつ変えていけば大丈夫です。
社内で組み立てられる形にしておく
NotebookLMやGensparkは、プログラムを書かなくても使える道具です。なので、出す項目や要約のしかたの指示は、プログラムを書かずに社内の担当者さんが調整できます。
最初に決めるのは「どの項目を、どの順で出すか」です。会議の形が変わったら、その指示も社内で変える。担当者さんがそこまで触れれば、毎月の議事録づくりに定着します。
外に頼むと、指示を少し変えたいだけでも待つことになります。社内で直せると、その待ちがなくなる。毎月の作業だと、この差は大きく効いてきます。
議事録から始めると、次が見えてくる
議事録の自動化は、派手な話ではありません。ただ、AI導入の最初の1つとしては、とても向いています。
効果が時間で見えるので、5時間が30分になった、は誰が聞いても分かります。AIに任せるところと人が確かめるところを分ける考え方も、小さく試せます。
議事録が早くそろえば、書く人は会議のあとの時間が空くし、社長は決まったことを早く確かめられます。まとめ方が指示として残っていれば、書く人が替わっても同じ形で続けられる。
議事録づくりで言えば、AX化とは、5時間かけて書く流れを、文字起こしから要約までAIに任せる流れに変えることです。会議のあとの時間を何に使うか。そこから、次に楽にしたい作業も見えてきます。