「うちの事務の佐藤さん、Excelは詳しいけどプログラミングは触ったこともないですよ。2ヶ月でアプリなんて作れるんですか」
先日、埼玉の建設資材販売会社の社長さんからZoom越しにこう聞かれました。従業員23名、事務2名。Excelで社内一番詳しいのが佐藤さん(仮名、40代女性)。VBAは少し触った程度。
結論から書きます。佐藤さんのような人が、いま一番Claude Codeを使いこなせます。プログラマーは要りません。「業務を一番分かっている人」がAIを操る側に回る。今日は教育プランの中身を書きます。
Claude Codeとは何か(最小限の説明)
Claude Codeは、AnthropicというAI会社が出しているコーディング支援ツールです。ChatGPTと同じく自然言語で指示を出しますが、決定的に違うのは「あなたのパソコンの中で、実際にファイルを作ったり書き換えたりする」点です。
ChatGPTにコードを書かせると、画面に出てきたコードをあなたが手でコピーして貼って動かす。この往復が未経験者には地味にきつい。Claude Codeは違います。「在庫管理アプリを作って」と打つと、勝手にフォルダを作り、コードを書き、ファイルを保存し、エラーが出れば自分で直そうとします。あなたがやるのは「こうしたい」と言葉で伝えるだけ。
これが、未経験者でも2ヶ月で業務アプリを作れる仕組みの土台です。
kintoneとの違い:「設定」ではなく「実装」ができる
「それってkintoneと何が違うの」とよく聞かれます。kintoneは「用意された部品を組み合わせて作る」ツール。入力欄をドラッグして並べる。だから「ノーコード」と呼ばれます。
でもこの方式には限界があります。「うちの検品ルールは、ロットごとに3段階のチェックを通して、2段階目で不適合が出たら自動で別ラインに振り分ける」みたいな業務、kintoneの標準部品では作れません。
Claude Codeはコードを書きます。だから「業務の流れそのもの」をそのまま動かせる。kintoneで「20%合わない」と諦めた部分が、Claude Codeなら作れる。佐藤さんが「こういう流れにしたい」と話すと、Claude Codeが書くんです。
佐藤さんが2ヶ月で何を作れるようになるか
建設資材販売の事務、Excel達人、プログラミング未経験。週1回90分、2ヶ月で計7〜8回。これが教育プランの内訳です。
序盤:1〜2回目(最初の2週間)
佐藤さんは自分のノートPCの前に座ります。画面にClaude Codeのターミナルが立ち上がっている。隣にはマンツーマンの講師(Zoom)。
1回目、講師が聞きます。「いま一番めんどくさい業務は」。返ってきたのは「日報集計」。営業3人が紙の日報を出してきて、佐藤さんがExcelに転記し、月次で集計する。月8時間。
最初の30分で「日報入力アプリを作って」と打つと、営業がスマホで入力できる画面がその場で立ち上がる。残り60分で項目を会社の運用に合わせます。「訪問先」「商談ステージ」「次回アクション」「金額(税抜)」。終わったとき、画面には動く日報アプリの骨格があります。
2回目は1週間後。「営業の田中さん、入力するの嫌がってるんですけど」と佐藤さん。想定通りの展開です。「ボタンが小さい」「移動中はオフラインで入力したい」。要望を一つずつ、Claude Codeに自分の言葉で改修を頼んでいきます。
序盤の2回で佐藤さんが手に入れるのは、「アプリは作って終わりじゃなく、育てるもの」という感覚です。
中盤:3〜5回目(2週目から4週目)
ここから機能を厚くしていきます。3回目は集計画面。月次の訪問件数、受注金額、ステージ別の進捗が、ボタン1つで出るようになる。
このとき佐藤さんが言った言葉を、ある会社で実際に聞きました。「これ、私が作ったってことになるんですか」。なります。手を動かしたのは佐藤さんで、Claude Codeはその手の延長です。
4回目は項目追加と運用調整。「メモ欄が短い」「写真も添付したい」。営業からの要望を一つずつClaude Codeに頼んで反映する。5回目は営業所別の出し分け。本社の事務と支店で見える範囲を変えたい、という社長の要望に応えます。
中盤の3回が終わるころには、現場で毎日使われているアプリが手元にあります。
終盤:6〜7回目(残り2週間)
ここからは「自分で改修する練習」です。講師は隣にいるけど、口を出しません。
6回目、佐藤さんが「来月から消費税の表示を変えたい」とClaude Codeに自分で指示を出します。詰まったら講師に聞く。聞かれた講師は答えを言わず、「Claude Codeに何て聞いたら出てきそう?」と返す。7回目には「営業所別の集計画面が欲しい」「入力漏れをアラートで出したい」を、佐藤さんが自分で組み立てて頼めるようになっています。
ここで佐藤さんは、社内で「日報の人」になる。困った営業が相談しに来る。佐藤さんは「ちょっと待ってて」と言って、Claude Codeに頼みます。30分後、改修が終わっている。
教える側の役割:壁を越えるサポート
「それ、Claude Codeさえあれば独学でいけるんじゃないの」と聞かれることがあります。半分正解で、半分違います。独学で詰まる箇所は決まっています。
ひとつめは「最初の環境構築」。インストール、契約、ターミナルを開く。ここで未経験者の8割は止まります。「黒い画面」を見た時点でフリーズする人がいる。
ふたつめは「エラーが出たときの読み方」。Claude Codeは自分でエラーを直しますが、直しきれない場合もあります。そのとき聞ける相手がいるかで、続くか挫折するかが分かれます。
みっつめは「業務に落とし込む発想」。「日報を効率化したい」と思っても、「じゃあアプリでどういう画面にする?」が初心者には浮かびません。50社の業務アプリを作ってきた講師が例を出すと、佐藤さんの中で像が結ばれます。
教育プランの90分は、この3つの壁を一緒に越える時間です。座学ではありません。
必要な前提
御社で用意するものは3つだけです。
- パソコン:受講者のノートPC1台。WindowsでもMacでも可。購入から5年以内を推奨します。
- Claude Proの契約:月額20ドル。受講者専用のアカウントを作ります。
- 時間の確保:2ヶ月の間に週1回×計7〜8回、各90分。最初の数回でアプリの骨格を作り、中盤で業務に合わせて育て、終盤で「自分で改修する練習」に移ります。2ヶ月終了時点で、受講者が単独で改修できる状態になっているのがゴールです。
費用は2ヶ月で30万円。いまはモニター価格として先着3社に限り2ヶ月20万円で受講できます(事例公開への協力が条件)。受講者1人につき、最低1本の業務アプリが「動く状態」で残ります。
向く社員・向かない社員
50社支援してきた経験から、はっきり言えることがあります。
向く人の特徴
Excelの関数を自分で組める人。SUMやVLOOKUPが分かれば十分。VBAは不要です。VBAを書ける人より「Excelで業務を回している人」のほうが向きます。業務を分解して考える癖がついているからです。
それから「面倒くさがり」な人。「この作業ずっと手でやってるの嫌だな」と日常的に思う人ほど、Claude Codeに頼む動機が強い。
向かない人の特徴
「言われたことを言われた通りにやる」のが好きな人は向きません。Claude Codeに指示を出すには「こうしたい」という意思が必要です。意思の薄い人は、何を作っていいか分からなくなる。
年齢の問題ではありません。60代でも変化を受け入れる人はいるし、20代でも頑なな人はいる。受講前の30分面談で見極めます。
いまのままだと、3年後に何が残るか
教育プランの話を最後まで聞いた社長さんに、いつも同じ質問をします。
「3年後、御社で業務アプリを作れる社員は何人いますか」
ほとんどの会社で答えはゼロ。3年間外注に頼り続けて、社内には「外注会社の連絡先」しか残らない。新しい業務が増えるたびに見積を取り、稟議を通し、半年待ち、また50万円払う。
教育プランの2ヶ月で残るのは、動くアプリ1本だけじゃない。「うちは社内で作れる」と言える体制が残ります。3年で5本作れば、外注なら250万円かかった費用です。